ホテル客室清掃を効率化する“手抜きポイント”とは?品質を落とさず時短する方法を解説
客室清掃は、ホテルの顧客満足度を左右する業務のひとつです。お客さまに心から快適に過ごしてもらうために、非常に重要な宅割を持っています。
そこで本記事では、客室清掃を効率化する「手抜き」ポイントについて詳しくまとめました。品質を維持したまま時短する方法も解説しているので、ぜひ参考にしてください。
客室清掃を効率化する方法
お客さまに気持ちよくホテルを利用してもらうために、客室清掃は欠かせません。しかし、ただていねいに清掃をするだけでは効率が悪くなり、かえってお客さまに迷惑をかけてしまう恐れがあります。ここでは、客室清掃を効率化するための具体的な方法を解説します。
限られた時間で求められる「清潔」さ
客室清掃において、一室あたりにかけられる時間は限られています。その一方で、清潔さへの期待は年々高まっており、チェックアウトから次のチェックインまでのわずかな時間で、多くの客室を整えなければいけません。しかし、すべての箇所を完璧に清掃しようとすると、どうしても時間が足りなくなるのが現実です。そこで重要になるのが「どこに重点をおき、時間をかけるか」というメリハリの利いた考え方です。
お客さまの目に触れやすく、不潔感を抱きやすいベッドまわりやバスルーム、床の髪の毛やゴミなどは、最優先すべきエリアとされています。
一方で、目立ちにくい巾木や高い位置のホコリなどは、目視確認と簡易な清掃に留め、定期的な重点清掃でカバーするのが効果的です。
このように清掃箇所に優先順位をつけることで、限られた時間のなかでも、高い清潔感を維持できるようになるでしょう。
効率を高める段取り
先ほども述べたように、客室清掃を効率化するためには、作業の「優先順位」や「進め方の見直し」が重要になります。まず最優先すべきは、衛生管理です。目に見える汚れを落とすだけでなく、感染症対策を踏まえた清掃・消毒が欠かせません。
すべての作業に同じだけの力を注ぐのではなく、必ず行うべき「必須作業」と、状況に応じて「簡略化できる作業」をわけることが、効率化への第一歩になります。
つまり、いかに賢く「手抜き」ができるかです。ここでいう手抜きとは、さぼることではありません。衛生や安全に影響しない範囲で工程を整理し、無理や無駄を省くための前向きな工夫を指します。
具体的には、動線を意識して部屋をまわることや、水まわりに洗剤をなじませている間に別の場所を清掃することなどが挙げられます。待ち時間を有効活用する工夫は、まさによい意味での「手抜き」になるでしょう。
効率と品質を両立するために必要なこと
効率と品質を両立するためには、個々の作業を早くこなすだけでなく、清掃体制そのものを見直す必要があります。とくに、スタッフの人手不足や用具管理の不備、チェック体制の甘さなどは、効率低下や品質のバラつきを招く大きな現認になります。これらが放置されると全体のバランスが崩れ、結果としてクレーム対応や手直しの作業が増えてしまう恐れもあるでしょう。
だからこそ、お客さまの目線で「ここだけは外せない」というポイントを見極めることが大切です。そのうえで、動線・道具・段取り・体制をしっかり整えることが、客室清掃における効率と品質の両立につながります。
客室清掃を効率化するための賢い手抜きポイント
客室清掃では、限られた時間ですべての客室をきれいに仕上げなければいけません。そのためには、賢く効率的に清掃する工夫が必要となります。ここでは、客室清掃を効率化するための「手抜き」ポイントについて解説します。
お客さま目線から考える優先順位
客室清掃の効率化で大切なことは、お客さま目線に立って考えることです。どこが一番気になるかを意識して作業を進めていけば、時間をかけずに賢く清掃できるでしょう。要するに、お客さま目線から逆算した「優先順位づけ」となります。ベッドまわりや浴室、トイレなどの水まわりは、少しの汚れでも不快感やクレームにつながりやすいため、ていねいな清掃が求められます。
一方で使用頻度の低い場所については、状況に応じた簡易な清掃でも問題ありません。
動線+ついで作業で無駄を省く
時間短縮を意識しても、品質を落としてしまっては意味がありません。効率よく作業を進めるには、同じ場所を何度も行き来しない「動線設計」がポイントとなります。たとえば、ベッドメイクついでにアメニティを補充したり、トイレ掃除の最後にトイレットペーパーを折って仕上げたりと、ひとつの動きの中で複数の作業を組み合わせることが有効です。
また、部屋に入ってからの順路をあらかじめメモしておくのもおすすめです。
道具と意識づけで「さぼり」と差をつける
道具選びも、客室清掃を効率化するために重要なポイントです。ひと口に掃除用道具といってもいろんな種類がありますが、すべての道具を持ち運ぶのは容易ではありません。移動の負担が増えて作業効率の低下を招くため、持ち運ぶ道具はできるだけ最小限に抑えることが大切です。強力な洗剤やコンパクトで多機能な道具を導入すれば、少ない荷物でも効率よく清掃できるでしょう。
ただし、複数の部屋をまとめて掃除する場合は、ワゴンなどを活用して一気に道具を運んだほうが時短につながります。
客室清掃にかかる目安時間は?
客室清掃は、限られた時間の中で高いクオリティが求められます。いかに効率よく部屋をきれいに仕上げるかが鍵となるため、事前に客室清掃にかかる目安時間を知っておくと安心です。ここでは、一般的な目安時間と、その内訳について解説します。
1室あたりに割り当てられる目安時間
一般的なホテルにおける、1室の清掃にかかる目安時間は「約20~30分」です。厚生労働省の職業情報提供サイトなどによると、1日あたりひとりのスタッフが担当する部屋数は10室程度とされており、ここから逆算しても1室に割ける時間は20分前後となります。ただし、実際の作業時間はホテルのグレードや客室タイプによって変動するため、必ずしもこの時間内で完了するわけではありません。
比較的シンプルな構造のビジネスホテルであれば目安時間どおりに仕上げられますが、スイートルームや高級旅館、ファミリー向けの広い客室などは、45分から1時間以上かかる場合もあるでしょう。
また、連泊中のお客さまを対象とした「簡易清掃(エコ清掃)」であれば、15分程度で完了させることも可能です。
細かな時間配分の内訳
目安である20~30分で清掃を終わらせるために、現場では作業ごとの時間配分が徹底されています。もっとも時間を要するのが、バスルームやトイレといった水まわりの清掃です。水垢や髪の毛の除去、鏡の拭き上げなど、清潔感が重視されるため、全体のなかでも念入りな作業が求められます。
配分の目安はおよそ7分程度ですが、浴室の広さによってそれ以上かかる場合もあるでしょう。
次に重要なベッドメイキングには、約5分が割り当てられます。そのほか、室内のゴミ回収や床の掃除機がけ、アメニティの補充や最終的な拭き上げなどは、それぞれ約3~5分かけて行うのが一般的です。
スタッフはこれらの工程をひとつの流れとして習得し、無駄のない動きでタイムロスを防いでいます。
時間内に清掃を完了させるための工夫
客室清掃を時間内に完了させるためには、業務の「コツ」を掴む必要があります。ベテランの清掃スタッフは、独自の工夫によって時間を上手にコントロールしており、もっとも効率的な手順を身体で理解しています。たとえば、客室に入るとすぐにゴミを回収し、その流れで浴室に洗剤を吹きつけておくなど、無駄な待ち時間を作りません。
また、手元に持つ道具の配置を固定することや、次にやる行動をあらかじめ決めておく「ルーティン化」も有効です。
午前中に体力を使い果たして午後にペースダウンするのを防ぐため、一定のペースを意識しながら作業を進めていくことも時間内に清掃を完了させる最大の秘訣でしょう。
客室清掃の効率や品質が下がってしまう要因
効率化が強く求められる客室清掃ですが、さまざまな要因が絡み合うことで、作業スピードや品質が低下してしまうケースは少なくありません。このような事態を防ぐためにも、現場で起こりがちな課題をあらかじめ把握しておくことが大切です。ここでは、効率や品質を下げてしまう主な要因について、3つの視点から詳しく解説します
人手不足と作業負担の増加
効率や品質を低下させる根本的な要因として挙げられるのが、清掃スタッフの人手不足です。人員が足りていない現場ではスタッフひとり当たりの業務量が増えるため、限られた時間の中で作業を進めるには、ひと部屋にかけられる時間が削られてしまいます。このような時間的・精神的な余裕のなさは、髪の毛の見落としや水まわりの拭き残しといった、深刻なケアレスミスを誘発する原因となります。また、新人スタッフに対しての教育環境も十分に確保できなくなり、組織全体の清掃品質も下がりかねません。
清掃用具や備品の不適切な管理
清掃用具やアメニティなどの備品管理が不適切であることも、効率を低下させる大きな要因です。客室清掃をスムーズに進めるためには、必要な道具の取捨選択や、客室へ移動するカートの整理整頓が欠かせません。しかし、洗剤が切れていたり、必要なアメニティが揃っていなかったりすると、その都度バックヤードへ道具を取りに戻る手間が発生します。この突発的なタイムロスは、ただでさえ過密スケジュールの客室清掃において、大きなストレスになるでしょう。
道具のメンテナンス不足は、作業の二度手間になるだけでなく、現場を疲弊させる原因となります。最終的には、全体の作業スピードと仕上がりの美しさまでも著しく損ねることにつながりかねません。
客室検査の機能不全とチェック漏れ
清掃が終われば、すべての業務が完了するわけではありません。最終的な品質を担保する「客室検査(インスペクション)」の実施も、客室清掃には必要不可欠です。インスペクター(客室検査官)による品質管理が徹底されていれば、クリーンな客室を十分に維持することができます。どんなにていねいに掃除をしても、人間の手作業である以上、細かい部分の見落としはどうしても生じてしまうものです。
本来であれば、客室検査官が基準に沿って厳しくチェックし、不備があればその場で修正されますが、管理体制が不十分な場合はきちんと検査が行われません。
とくに昨今は人手不足の現場が多く、省略されるケースも少なくないため、状態の悪い客室がそのまま宿泊客に提供されてしまいます。
これは顧客満足度の低下や重大なクレームにも直結するため、注意が必要です。
清掃業者に委託する方法も?
客室清掃は、現場改善だけでは限界があります。そこで、ホテルの清掃に特化した専門業者に委託することも可能です。ここでは、外部委託をした場合のメリットと、あらかじめ知っておくべきデメリットについて紹介します。
スタッフを募集する必要がない
外部委託を選択する一番のメリットは、スタッフの募集や管理にかかる負担を大幅に削減できることです。人手不足が深刻化しているホテル業界において、スタッフの採用・教育・シフト管理を継続していくのは容易ではありません。清掃業者に委託すれば、これらの手間を省けるため、ホテル運営の効率化も図れるでしょう。さらに、繁忙期と閑散期で客室の稼働率が大きく変動する宿泊施設においては、時期に合わせて必要なスタッフを確保できるので、無駄のないコスト運用が可能になります。
また、ホテル側は空いた時間や人員のリソースを接客やサービスの向上、マーケティングといったコア業務に集中させることも可能です。
いつも部屋がきれいに仕上がる
ホテルの口コミで多いのが「部屋が汚い」というものです。ビジネスホテルの場合、ひと部屋あたり30分程度で掃除を終わらせなければいけないため、どうしても不備が出てしまいます。業者なら、一定以上の高い水準が期待できるので、仕上がりにバラつきがありません。短時間であっても、清潔で快適な客室環境を安定して提供してくれるでしょう。
コストと企業の選定
客室清掃を外部委託すると、さまざまなメリットがあることがわかりました。しかし一方で、費用面の検討を慎重に行わなければいけません。一般的に、専門業者への委託は自社スタッフを直接雇用するよりも、コストが高くなるケースがほとんどです。
そのため、外部委託によって得られる「業務効率化」や「顧客満足度の向上」というメリットが、発生するコストに見合っているかどうか見極める必要があります。
また、業者を選定する際も、単に料金の安さだけで判断するのは禁物です。研修制度やチェック体制なども確認し、効率化に向けた具体的な取り組みについてもきちんと調べておきましょう。
まとめ
今回は、ホテルの客室清掃を効率化するための「手抜き」ポイントや、安定した品質を保ちながら時短を叶える方法を紹介しました。手抜きといっても、決して作業を適当に済ませることではありません。お客さまの目線を第一に考え、清掃の効率と品質の「両方」を意識して行うことが重要です。
また、清掃スタッフの確保がむずかしくなっている昨今においては、自社スタッフの直接雇用だけでなく、専門業者への外部委託を検討するのもおすすめです。ぜひ今回の記事を参考にしながら、無駄のない賢い客室清掃を実現させてください。








