
ホテルにおける清掃は、快適な宿泊環境を提供するうえで欠かせない要素ですが、日常清掃や定期清掃だけでは対処しきれない汚れや劣化も少なくありません。こうしたケースに対応するのが「特別清掃」です。この記事では、ホテルでよく実施される代表的な特別清掃の例をご紹介します。
日常清掃とは
ホテルを快適に保ち、宿泊者に清潔で安心できる空間を提供するためには、日々の地道なメンテナンスが欠かせません。その中心となるのが、日常清掃です。ホテル清掃会社が提供するサービスの中で、もっとも基本的となるものです。日常清掃は、その名のとおり日々実施する清掃作業を指します。ホテルの場合、建物の内部はもちろん、周辺環境も含めた美観と衛生状態の維持が求められます。
日常清掃の目的は、清潔で過ごしやすい空間を保つことにあり、汚れが蓄積する前にこまめに取り除くのが重要です。清掃場所は、宿泊者やスタッフが日常的に利用する通路、ロビー、エントランスの床、トイレ、エレベーター、階段、ゴミ置き場などが挙げられます。
使用される道具は、一般家庭でも使用されるような掃除機、モップ、ほうき、ちりとり、ブラシ、雑巾といった基本的なものです。設備や建材を傷めず、利用者の健康にも配慮するため、刺激の少ない中性洗剤がおもに用いられます。
定期清掃とは
ホテルをつねに清潔に保つためには、日常的な清掃だけではなく、一定期間ごとに実施する定期清掃も欠かせません。定期清掃とは、日常清掃では手の届かない汚れや蓄積した汚れを徹底的に除去し、施設全体の衛生状態と美観を維持する清掃です。月1~2回ほどの重点清掃
定期清掃の実施頻度は、ホテルの規模や利用状況によって異なりますが、一般的には月に1〜2回程度が定期清掃の目安とされています。ただし、床の材質や汚れやすさ、客室の稼働状況、または利用者の多い場所かどうかなどで頻度が決まります。そのため、共用スペースは比較的多く、バックヤードや事務所などは年に数回にとどまることもあるでしょう。
器具が使用される
定期清掃では、掃除機や雑巾だけでは対応しきれない汚れを取り除きます。そのため、専用の機械や薬剤が使用されます。床の洗浄にはポリッシャーと呼ばれる床面専用の洗浄機が使われ、カーペットの深部洗浄には専用のスチームクリーナーが必要です。高圧洗浄機や強力な酸性・アルカリ性洗剤を用いることもあるため、適切な使用方法や取り扱いが求められます。そのため、高所作業や大型機材の操作、洗剤の正しい選定などに精通したホテル清掃会社に依頼するのが一般的です。
特別清掃とは
ホテルの清掃には、日常的に行われる客室や共有スペースの清掃のほか、カーペットの洗浄など、定期的に実施される定期清掃が存在します。しかし、それらの清掃では対応しきれない汚れを対象とするのが、特別清掃です。高所作業や頑固な汚れが対象
特別清掃とは、定期清掃の対象外となる範囲や内容に対し、必要に応じて単発で実施する清掃業務を指します。たとえば、普段は立ち入らない設備スペースや屋上、看板、外壁などがその代表的な対象です。また、長年蓄積された頑固な汚れなど、通常の清掃では除去しきれない汚れの除去を目的とします。
屋上の清掃
特別清掃の一例が、屋上清掃です。屋上はつねに雨風にさらされており、風で舞い上がった砂や埃が堆積しやすい場所です。放置すれば汚れが配管に詰まり、美観を損なうだけではなく、排水不良を引き起こすおそれがあります。排水機能が損なわれると、雨水が屋上に溜まり、やがては雨漏りや害虫の発生につながる可能性も否定できません。屋上とあわせて排水管の洗浄も実施することで、リスクを未然に防げます。
建物外壁洗浄
高所にある窓ガラスや建物外壁の洗浄も、特別清掃の対象です。高層階のガラスは定期的な清掃が困難であるため、視界を妨げる汚れが長期間放置されていることが少なくありません。年に1回から2回外壁洗浄することで、建物本来の色彩や質感がよみがえり、外壁塗装の効力をしっかりと発揮できるでしょう。また、看板は特別清掃でしっかりときれいにしたい場所のひとつです。ホテルのブランドイメージを左右する要素のひとつであるため、汚れているだけでマイナスの印象を与えかねません。特別清掃によってうつくしい状態を維持することで、安心感と信頼性を演出できます。